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2012年05月24日

先回りをしない強さ、先回りを突破する強さ

ある日の60歳過ぎの年配のかたと30代の若い方の会話。

若「実は今度、○○という問題について、かくかくしかじか取り組んでみようと思うのです。というのも、現状は云々のような状況なので」

年配「それじゃ失敗するよ。」

若「なんでですか?」

年配「僕らも若いころにさんざんそうやったけど駄目だったんだよ」

若「何が問題なのでしょう」

年配「経験から行くと、かくかくしかじかあるべきなんだよ」

若「それは私はまだ経験が足りなくてわかりかねますが、じゃあ、どのようなことが必要なのですか」

年配「それがわかったらこんな状況になってないよ。とにかくそこには協力できないよ」

若「…」

+++

こんな会話、日常的に出会いませんか?
ある商店街の会合でも、若手の発言をベテランの方が上記のように一つ一つつぶして、結果的になにも決まらなかった、実行されなかった場に居合わせたことがあります。

時代背景も、考えている切り口も価値観も全然違うのを差し置いて、経験上から若手のアイデアや先に踏み出す一歩の芽を摘んでしまう。

これは、「経験を振りかざして最初からあきらめていること」という場合もありますが、
「極度に無駄や失敗を避けようとして結果ばかりを求めている」場合も多く、一方で
「本当に若い人のことを思って良心から言っている場合」もあります。

ただ、いずれにしても結果は同じ。なにも進まない、のです。

経験を積んだ人は、老若にかかわらず、かかわった相手に対して自分の経験を振りかざしてしまうことがあります。

それが建設的な提言であればいいのですが、上記のように、相手が何かをする前に、先回りしてそれを否定してしまう結果、踏み出そうというところを踏み出せなくしてしまっていることが、少なからずあるのです。

このような状況では、「物事が前に進まない」だけではなく「人が育たない」「組織がまとまらない」ことになります。いまの多くの商店街で、40代でリーダーが育たず、その年代の疲弊感だけが増している状況が如実にそれを表しています。
かつて、まだ比較的余裕のあった時代に自分たちがしてきた失敗を若い世代には「してはいけない」でも「結果を出せ」と求めることや、これまでその積み重ねがない人にいきなりそれをやれ、ということには無理があります。

人は、経験から学ぶものです。
一方で、ひとの経験を共有し、それをもって自分の価値観を変えていくということは、よほどの説得力や共感がなければ難しいでしょう。

物事を動かし、ひとを育てていくためには、自分の経験で相手をやりこめる方法(結果)は避けることが望ましいでしょう。先回りして結果的に相手を踏みとどめてしまわぬ強さ、つまり、相手に取り返しのつく失敗をさせる我慢強さとフォローアップの精神を持たねばなりません。
もう一つ言えるのは、経験を振りかざされた若い人も、そこで歩みを止めてはいけないのです。若者らしく前に進む、経験からの壁を突破する強さを持たねばならない、ということです。
そこを突破し、認めさせ、そして時にベテランから奪い、時代を変えていく。そこに若手としての面白みがあるのです。

どのようにすれば相手を説得できるか、相手の言うリスクを回避できるか、を考えることをやめてはいけません。そして大事なことは、必要な時には「とにかく踏み出す」ということです。完全な計画など存在しません。とにかく踏み出し、経験することからそれは熟成され、自己の成長につながっていくのです。

精力的なまちづくり活動が進んでいる地域は、このような世代や経験による差、それぞれの役割分担がうまくいっている地域が多いように思います。

+++以下、余談+++

ちなみに、上述のベテランの方がことごとく若手の意見を経験だけから潰してしまった商店街。
建設的な意見を求めても出てこないこともあり、
「ベテランの方はすべて引退し、お金をだすこと、何かやるときに地元で必要な調整作業だけしてください。このままだと、この若いメンバーはここで子供を育てて子供に故郷を残してやることができなくなりますから」
と私はお願いしました。
そういうことを言うのも、第三者である支援者の役割の一つだと思っています。

その商店街からは、声がかからなくなりました。
おそらく第一には私の実力不足があるでしょうが、そのほかに
・現地のお金や意思決定権を持っているベテランが私に対して面白くなかったこと
そして、もうひとつ
・若い世代がこの機会を活かして、下剋上をしようという気概がなかったこと
があるでしょう。

しかし、支援者としての立場からいえば、そのように自分が支援したくなる人がいない地域には、特段呼ばれなくてもいいや、ということです。こうやって、支援者も遠のいていくのも現実と思います。

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