++ 画像・文章の無断転用、転載、加工等はお断りしております++
☆また、商品販売や販売促進を目的としたサイトが当ブログの記事を無断でリンクし、
記事内の情報をそれら目的に用いることを禁じます。☆

« 新橋で一杯 | メイン | 勝てる勝負 »

とある踊りに関すること

ネットサーフィンをしていたら、近年よく各地のイベントに登場する
とある「踊り」に関する北海道新聞の記事をみつけた。

曰く北海道新聞社が行った調査では半数以上の人が、
その「踊り」が「嫌い」と回答したとのこと。

「お金が絡みすぎ(商業ベース)」「参加者の態度が問題」

などという批判的意見があるようだ。
この記事を見て、まあ、批判的な人が多いのだろうとは
思っていたけれども、

「へぇ~、そういうところが問題視されているのか」

と思った。

個人的な日ごろの感想から言えば、
とあるイベントで人気になったことがきっかけで、
日本のあちこちで、なんでこんなにたくさんおなじ
「踊り」がされているんだろうなんて考えてしまう。
地域とまったく関係ない得体の知れない「借り物」が
はやっていて、それを地域の祭りの目玉にするなんて、
どうなんだろう、と思う。

その踊りは長年の民衆の生活の積み重ねの上に醸造されてきた
高知の伝統的踊りと北海道の伝統的踊りを融合させた、
などというが、

よく、高知県と北海道で暴動が起きないものだ、

と思っていた。
それよりむしろ、その「踊り」が北海道で行われていた
ことに、ひどくがっかりしたものだ。

その「踊り」は、リズミカルな音楽に一糸乱れぬ、オリジナリティ
ある踊りで街を練り歩く。
見れば、踊り手たちの情熱も伝わるし、それなりに感心する。
「元気がもらえる」「一生懸命さに打たれる」そういう評価があるのも良くわかる。
だから、僕は一つのサークル活動としてのその「踊り」は
否定しないし、それはやりたい人が自分たちで納得してお金を出して
やる分にはまったく問題は無い。

でも、それが、古からの文化に根付いた高知の踊りを語り、
北海道の踊りを語れるものなのだろうか?

いくらベンツとBMWがそれぞれよさを持った車だからといって、
二つをくっつけて
「ベンツBMW」なんて、ありえないのと似た感覚を抱く。

 


 

自分が、日本の各地でどこもかしこも、ある法人の懐にも入る
参加料金を払ってその「踊り」を乱発していることに、

僕は
金を払ってすでにあるものを使いたがる、

創造力のなさ

を常日頃感じてきた。そして、訪れる街々で、大々的な
その「踊り」のイベントポスターを見ては、
「ここも他と変わらないんだ」なんてガッカリする気持ちを覚えた。

スタンプのようにどこでもやっているイベントを大々的に
宣伝している地域に、
外から来た人間はどんな期待を抱けるというのだろう?

本当は、その町や地域にだって、ベースにできる「良さ」、
(その「良さ」とは、その地域での生活の積み重ねにより
そこに存在するはずの文化)
があるのに、そんなのを無視して、やれまちづくりだ、
やれ賑わいだ、などと十分にやることもせずに
「踊り」なるものを借りてきてお金をかけてイベントをする。
そんなの表面的なものだ。
毎年、それにお金を払い続けていくというのか。

地域や団体によって違う創意工夫があるからオリジナルだ、
などといったって、
それは一部のサークルの人たちの創意工夫であって、それは
その地域の文化ではない。
だから、それはまちづくりとして根付き、永続するモデルではない。

10年後に日本各地から集まった人に
「出身地の売りは何ですか?」
と聞いたときにその「踊りです」
とかなったりして、などと思う。

まちづくりというのは、その地域に住む人が過去から受け継いだものを
日々の生活でつむぎ、新しく磨き、そして将来につなげていくものだ。
もちろん時に、革新的で創造的なものが外的要因で起こることは
あろうが、それは、「モノマネ」では起こりえない。
本当にまちづくりにそれを活かしたいなら、そこから
地域住民の生活と文化に根付いたまったく新しい
地域の価値を生み出さねば意味が無い。

目に見えて活力を失っていく地域が多い。
そんな中で、派手なこの踊りで街を一時的でも明るくしたい。
そんな気持ちがわからないでもない。

でも、なんでその地域に伝わるお祭りを、
その地域に伝わる踊りをアレンジして、新しいものを作り出さないのだろうか。
安易に、すでに作られたものや、漫画のキャラクターを
街中に並べたりしなくてはいけないのか。

この創造力の欠落、
創造をしようとしない、しようという人を疎みまでする傾向が
本当はまちづくりと賑わいを奪い去っている。

そして、残念ながら自分はそんな多くの町を見てきた。

 


 

ちなみに、鳥取県で「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターを並べた
商店街「水木しげるロード」なるものが人気だと近年騒がれているが、

僕が高校時代をすごした調布の布田天神まえの商店街には
もう、とっくのとう、随分前から鬼太郎のキャラクターが並んでいた。
水木氏が調布に住んでいるのだ。
それに、同じく調布の深大寺の御茶屋などでは鬼太郎にちなんだ
メニューだってある。
僕にとっての水木しげるロードは調布だ。

最近、鬼太郎が誘拐されて大変らしいのだが…リモコン下駄は通用しなかったか。

 

About

2007年06月10日 22:07に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「新橋で一杯」です。

次の投稿は「勝てる勝負」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。