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労苦に報いる?

東京のある自治体で、町に3年以上住む75歳以上の高齢者の
医療費負担が1割から無料になったという。
その背景は、町に大型ショッピングモールが進出し、
税収が上がったということだ。
そこで、町の発展に寄与してくれた高齢者の長年の労苦に
報いるため、そもそも1割だけの医療費負担をゼロにするのだと
町長がインタビューで答えていた。
対象となる高齢者の人口は町の全人口の約1割だそうだ。

確かに、これまでの社会の発展をもたらしてくれた人々の
労苦は考える必要はあると思う。
しかし、しかしだ。

そんなことをやっているご時勢なのか?

と思ってしまった。
いつまでいるかわからないショッピングモールで税収が
あがりました。だから、一律、75歳以上の高齢者の医療費を
ただにします。
という仕組みは持続的なのだろうか?

今の社会は社会的に成長は止まり、若者が将来に不安を抱き、
望みを失っている。若い事業者たちは、かつての世代が体験した
高度経済成長のような将来に夢を持てる環境にはおらず、むしろ
その負の遺産を引き継いでそこを乗り越えようと労苦に直面している。

そのような中で、暴論といわれるかもしれないが、
まだ年金をしっかりもらえ、1割の医療費負担ですんでいる世代、
(若い世代にとって、自分たちが同じ年頃になったときに同じ恩恵を
受けられると考えている人はどれだけいるだろう?)
そして、現在の年代ごと資産保有率は高齢者がとても高い時代に
こちらの記事によると、70代以上の金融資産保有平均は2426万円、
40代では1116万円、純貯蓄額はそれぞれ2336万円、183万円となっている)

ただ単に「労苦に報いる」といって「負担ゼロ」等としてよいのか?
しかも75歳以上の人口は、これから増えるのに、だ。
その制度は、例えば我々30代の年代が75歳になっても持続しうる
制度設計になっているのだろうか?(なっていないのであれば、
それは目先のシルバー民主主義的制度といわれても仕方ない)
医療費負担をゼロにしたことで、その分が消費に回され、
お金が地域の事業者に還流し、若者がそれで潤うのか?
それは到底考えられないだろう。

ショッピングモールが税収を上げたのであれば、それで時代を担う、
次の代を担う世代の事業創出や育成、人材育成、将来に希望を持って
暮らせる社会づくりを行うほうが、
結果的にみれば高齢者福祉だって持続的な取組みができるように
なるのではないか。

戦乱で荒廃した中で、他藩からの支援で得た百俵の米をその場の
飢えしのぎで食べてしまうのではなく、お金に変え、そのお金で人材を育成し
結果的にまちを発展させていった「米百俵の精神」とは対照的な
出来事だな、そんな気がした。

 

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2009年04月01日 18:42に投稿されたエントリーのページです。

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