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中心市街地から追いやられる若い世代

まちづくりにとって、若い世代がそれを担っていくことは
おそらく必要不可欠であることだ。
一方で、特に商店街などで若い世代が少なく、活動の
担い手に問題を抱えている地域は多いだろう。

仕事柄、中心市街地や利用者数の多い駅周辺の
人口を調べることも多いが、よく見られる傾向がある。

それは、そのような地域の中心、商業の中心周辺
において、高齢化が進み人口減少が進んでいること。
一方で駅などから離れた郊外部において人口が増え、
若い世代がそこに住んでいることである。

これが何を意味するのか?

ある地域での商店街の仕事で、地域に住む高齢者のかたが
言ったことがあった。

「どうせ若い世代なんて、よその地域に家を買って町を捨てて出て行くんだろ」

自分はその若い世代だが、そうせざるを得ない若い世代の事情がよくわかる。

昭和の中ほどから発展してきたまちの多くにおいて、
まちの中心地やすでにインフラが整備尽くされた感のある利便性の高い
地域は当然すでに人が住んでいる。
当時から住んでいる人は、いまは高齢者や、それに近い年代の人々だ。
すると土地も少ないから、若い世代がそこに一戸建てを構える余地は
元から限られている。
また、そのような地域は当然地価が高いから、物件も高い。
一方で、時代は成長経済下になく、世帯収入の水準も上がらず、
低所得化と目に見える将来の負担増への不安が若い世代に重くのしかかっている。
さらに、物件があったとしても、何もないところに何かをたてればよい時代ではない。
建物の除却などの問題がかかわってくる。

そうすると、若い世代は利便性の高い町の中心などに住みたくても、
すむことができず、多少の不便を了解の上で郊外の家に住む選択肢しかない。
別にまちを捨てたくて他地域に行くのではない。
そのまちに住む場所がないから出て行かざるを得ない現状がある。

昔のように駅が新設され、その周辺に高齢者などがしっかり陣取っていたりすることがなく、
建物の除却の必要性など負の労力を考えないでいい、地価の安い更地ばかりが広がっている
時代ではない。
もし、そういう地域があれば当然若い人だってそのような利便性が高いところに住むのだ。

+++

若い世代が住みたい町の中心にすむことができず、中心地のあらゆるものが
高齢化していく現状。
このことはまちづくりにとって、適正な建物や商業、住民の更新が行われていない、
と見ることができる。
当然、人口の重心も変わってくる上に、中心地の商業などの魅力も
より低下してくるから、商業の重心や拠点も変わってくる。
いくら、中心商店街に若い人を呼んで活性化しようとしても、周辺の若手の人口も
減っていれば当然困難になってくる。
社会的コスト低減のために中心市街地にマンションを造って郊外部の高齢者を
住ませよう、などと取り組むのは悪いとは言わない。
しかし、まちの活力を若い世代が担うというのであれば、
住民の適正な世代構成の維持と、若い世代がすむことができる中心市街地の
環境づくりに取り組むことが重要ではないだろうか。

+++

中心市街地のある一定の面積を行政が所有し、
35年程度の定期借地権などのエリアを数地区、期限がずれるように設定し、
将来的に必ず順次住民の更新が発生して若い世代を維持する
ことなどはできないものだろうか、などと考えてしまう。

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2009年06月06日 02:40に投稿されたエントリーのページです。

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