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オークション詐欺 現在進行形

本日、とあるネットオークションで2人の異なる「商品発送地域」と
「ID」の
出品者から、それぞれ同じ商品を落札した。

どうやらそれは、オークション詐欺のIDらしく、現在それが進行しているようである。

■事の発端

オークション上で、とある商品に目をつける。
その説明文章は日本語で、長々と機能などが説明してあり、
取引の注意事項も書いてある。

ただ、画像が明らかにその商品自体ではなかったのと、
説明文にやや不自然な表現があった。

入金先を見ると、どうやら日本の銀行ではない。
厳密に言うと、日本の銀行を中国語表記してあったようだ。

とはいえ、そのIDでは過去に多くの取引実績があり、
「悪い出品者」との評価はない。

また、ほかにも多くの商品を出品している。

金額も、個人的に決めている損害許容額の範囲内なので、
入札し、落札した。

■何か変だぞ

数時間して、夜。
ネットオークションの取引連絡用の掲示板に、出品者からコメントが来る。

銀行口座だけ書いてある。

しかも、思いっきり中国語が文字化けしていて読めない。

通常、オークションでは、

「はじめまして」

から始まり、

「短い間ですが、よろしくお願いします」

とまずは出品者が身元を明かすものだ

しかし、ここには出品者の住所や電話番号も書いていない。

さらには、2人別々のID、出品地域の商品を落札したのに

「銀行口座番号が同じ」

思いっきり胡散臭い。

「中国の社会じゃ、こういう方法なのかもしれない」

そう善意に解釈しようとした。が、やはり調べることに。

 

■調査の結果は?

調査、といっても、そんなたいしたことはしていない。

1) そのIDの過去の行動を読む
→ 評価欄で、過去の落札商品の動向、評価、そして、 そのIDが記入している文章を分析

2)そのIDで、今回落札した商品が評価されているかを見る (事前に見ているが)
→ 評価欄に、その商品を落札した人がよい評価をしていれば、 信憑性があがる

3) そのIDで詐欺の報告がないか探る
→ グーグル検索を行う。掲示板を検索する。

4) 商品説明文章が共通しているほかの出品者などの過去の行動を見る
→ IDをコロコロ変えている可能性があるのと、 もともと商品説明文章を
他人からコピーしている場合、コピー元が迷惑をしていることがある

5) 先方からの連絡を無視してみる
→ 基本的にオークションはすばやい返信が行われるが、 あえて返信をしない。

これ他の調査を行った結果。

1) そのIDの過去の行動を読む

その結果、 そのIDの過去のオークション取引では、今回出品されているものと
同じようなカテゴリにくくれるような取引は皆無であった。

まったく趣向の違うものが数多く取引されていたことがわかった

しかも、出品よりも落札がはるかに数が多い。
しかし、今回、そのIDではざっと数えても20以上の商品を同時に
出品
しているのだ。

さらに着目したのは、過去の評価のやり取りは

「日本語がかなり丁寧で上手」 なやり取りをしている

ということであり、漢字も日本のものであった。


2)そのIDで、今回落札した商品が評価されているかを見る (事前に見ているが)

その商品では、評価者がいなかった。
調べてみると、そのIDがその商品をオークションに出し始めたのはここ2日。
オークションの説明には「入金確認後、2日以内に発送」とあるので、
最速でも明日に評価がつくことになる。
あまりあてにならなかった。

3) そのIDで詐欺の報告がないか探る

グーグルで検索をかけてみる。そのIDの過去の取引と、現在出品している
取引のページ、ここ二日すでに終了しているページが出てきた。
しかし、特に詐欺の報告は出ていないが、4につながるいくつかの情報が
でてきた。

4) 商品説明文章が共通しているほかの出品者などの過去の行動を見る

これは効果覿面だった。

まず、文章であるが、他の出品者の商品説明をまるっきりコピーし、
入金先だけを変えていることが判った。

その出品者は、出品ページの中に以下のような注意書きを書いている。

「最近、このページの商品説明をコピーして出品している出品者がいますが、
私はその出品者とはかかわりはなく、一切のトラブルに関与していません」

つまり、この出品者はおそらく、何らかの問い合わせや苦情を受けている、
ということであり、ここでいう苦情というのは
「商品が届きません」
というものであろう事は容易に推測できる。

そして、今回私が関連している出品者の商品説明の文章は、
さらにいくつものIDで同様の文章をコピーして出品していることが
判った。

そして、過去にすでに終了している取引でも同様であり、
そのような取引の中から気になるものを多々みつけた。

それは、

「IDが停止中」

となっているものが多いということだ。

つい先日まで、色々な良品の取引実績があるのに、ある日突然、
今回の商品を出品し、落札され、そして数日後すぐに

「ID停止」

となっている。
つまり、これは、それまでは正常にさまざまな商品を取引し、評価が悪くなかった
出品者がある時点で悪いことをして、サービス会社に通報され、IDを強制停止
させられたことを意味している。

あるいは、IDを不正使用された本人が気づいて停止させたか、である。

5)先方からの連絡を無視してみる

この調査の結果も面白いものであった。
はじめ、口座だけが届いたメールだが、

一時間もしないうちにもう一通届いた。

それには、文字化けが若干修正され、フリーのメールアドレスが
加えられ、文法が変な
日本語も書かれている。
つまり、

「早く住所を送ってほしい、入金してほしい」

ということ。
しかし、これも無視した。

すると、さらに1時間もたたないうちに督促第3弾が来た。

どうやら、口座番号ははっきりと判るようになったようだ。
そして、その口座名義は中国名ではなく、おそらく朝鮮半島系の
物であることが判断できた。

そして、その支店名は、「出品地域」とは遠くはなれたものであったのだ。

■この取引は限りなく詐欺に近い

上記のことより、

・このIDによる取引は非常に詐欺的要素が強く、
取引が誠実に履行されないリスクが高い


ことが判ったのだが、さらにいえるのは、

これらのユーザーIDは、これまで実在し、使われてきたものであり、
それが今回の取引においては第三者に不正使用されている可能性が非常に
高い、ということである。

そして、商品の画像と本文の差異などについては簡単な表現でも
修正されていないこと、私に来たメッセージが中国語であったことから
おそらく、出品者は日本語の文章が理解できない外国人であると考えられた。

また、 連絡を無視しているときに矢継ぎ早に催促をしていることについては、
早く入金させたい、ということもあるだろうが、
こちらの氏名、住所、電話番号を抑えて身動き取れないように
したいのだろう。
取引で、 クレジットカードや後払いのサービスを使っていないということは、
相手が現金を確実に手に入れようとしていることを意味している。

私の立場、つまり落札者は
出品者の名前や住所、電話番号はこの時点でもわかっていない。
それなのにこちらから伝えてしまえば、あとからどのような手を使っても
入金させられる可能性が高い。
たとえば、「お前の家に行くぞ」と電話がかかってくれば、こちらは
どこの誰かもわからぬ人間におびえて、結果的に入金せざるを得ないのだ。


■フィッシングによるID不正取得からの

犯行の可能性

それにしても、「他者のIDを第三者が使う」ということは可能なのだろうか?

可能、なのである。

それを可能にするIDとパスワードの入手は、いくつかの方法がある。

a) 直接人が入力しているのを見て、IDとパスワードを盗む
b) スパイウェアを相手のパソコンに感染させ、そこから入力された文字列を読み取る
c) 巷にID,パスワードが流出しているとして、それを有料で入手する

そして、可能性として高いのが
d)フィッシングというインターネット上のトラップ(罠)をつかい、相手にニセの
ページからIDとパスワードを入力させ、それを記録しておく。

おそらく、今回用いられているのは”d”のフィッシングだろう。

かつて自分も、ヤフーオークションのログインページそっくりに作られた
フィッシングページに遭遇したことがあるが、一見しては区別がつかない。
そしてそれは、メールで「お得なオークション開催中」や、
掲示板などで、「この商品を見てみて!すごいから!」などのような
誘導を行い、ユーザーの好奇心をあおってニセページにログインさせ、
その際にIDとパスワードを記録してしまうのだ。

今回、私が直面しているIDの過去の取引結果から見れば、
随分オークションをやっているようだ。
さらには、ある種のマニア的傾向を持っていると明らかにわかり、
そのネタでフィッシングに引っかかったであろうコトは推測がつく。

■対応~信義上の理由からキャンセルを

まずは、サービス運営会社にメールを入れた。

また、自分自身は相手にメールアドレスはばれているものの、
それ以外はばれていないので、もう少し返信をしないように
しようと思う。
相手は、メールをよこせ、といっているが、ここでうかつにメールなど
出してはいけない。
そこには、相手に渡ってしまうこちらの情報があるからだ。
たとえば、どこのサービスプロバイダで、 どの地域のアクセスポイントを
経由しているか、など。
メール情報からだけでは個人は特定することはできないのだが、
それでも必要以上に相手に情報を渡してはならない。

さて、明日中にでも
IDが「停止中」になれば明らかに何らかの被害が発生したことがわかるし、
逆に、 そのIDに今回の商品をほかに落札した人からお礼の評価が入れば
確かな相手だという確証が少しはもてる。

いずれにせよ、結果的には

「信用できませんので、取引はキャンセルします」

ということになるだろう。

まあ、もしかすると相手からは「悪い落札者」だと評価を受けるかも
知れないが、説明と事実が異なることを行っている相手とリスクを
犯してまで取引をする義理はないだろう。

■今後への教訓・改善

オークション、ネットショッピングの経験は豊かなほうだと考えている。

だからこそ、油断が起きてしまい、相手の与信審査を十分に行うことなく
失敗するところであった。

今後は、これを教訓に気を引き締めなおす必要があるだろう。

今回、調査時に行ったような作業を、きちんと事前に行おう。

大切なのは、後始末ではない。前始末であり、

その状況を回避することなのだ。

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2007年05月29日 01:11に投稿されたエントリーのページです。

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