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若者はまちづくりの主権を奪う。ベテランは場を与える。これが大切。

最近、まちづくりの現場で、高齢者による高齢者のための
まちづくりに偏りがちな会合が多いと感じる。

地域を将来的に支え、子供を育てなくてはならない世代の
生活環境はあまり省みられない。

高齢の人は、人生経験豊かだ。だから、社会に資する物事を
知っている人も多い。一方で、それが弊害にもなる。

「自分たちがここまで社会を発展させたのだ」

と、これまでの人生の長さや経験の豊富さを権利の主張の根拠にする。
(まあ、巷で言われる”豊かな経験”とは何を指すのか曖昧だが。
比べる物事によって、高齢であるほど経験がないコトだって多い)

「若いやつらはどうせ外に出て行って、買い物も町でしない」

という。だから、彼らのための環境づくりなど不要だ、といわんばかりだ。
そもそも、そのような背景にはどのような理由があるのかは省みられない。

もし、若者が白地のキャンバスと高度経済成長を与えられたのであれば、
きっと彼らは自分たちのまちをそこに描くだろう。そして、まちの外ではなく
まちの中で生活するに違いない。そのときは高齢者が外に出るかもしれない。

若手の発言を頭から否定し、取り合わず、そして何も前に進まない。

まちづくりに熱心に取り組んで、靴の底を減らしている若手の男性が、
ある会合でアイデアを発言したことがある。
すると外部から来た人たちの目の前で、高齢のメンバーが
「バカモン!何を言っているか!」
とすぐさま怒鳴りつけた。
議論はそれから進展しなかった。代案の提案もなされなかったのだ。


自分は、ある会合で、あまりに若手の意見を聞こうとしないで
代案も出さず、自分たちの権利を主張する高齢の役員さんたちに、

「みなさん、もう辞めてください。お金だけ出してください。
若い人たちはここで仕事をして、子供を育て、高齢化の中で皆さんの年金や
社会を支えて生きて行かなくてはならないのです。
このままでは、このまちは皆さんの世代でなくなります。子供が故郷を失います」

というようなことを言ったことがある。
場はシーン、としてしまったが、中には
「その通りだね、もう、任せようよ」
と言ってくれる高齢の役員さんもいた。
時代背景や景色は違うにせよ、どの時代も若者は問題や苦労に直面し、
それを乗り越えようとしている。彼らが主役になれなくては、
彼らは負担ばかりを抱え込む。

もちろん、高齢のまちづくりメンバーが素敵なまちづくりをリードしている
まちや事例も多いのも事実としてあるし、高齢者のまちづくりへの参画は
これからも重要なことであるのに違いない。

++++

一方で、若者も問題を抱える。

世の中には下克上よろしく、年上の商店街役員を若手が
よってたかって辞めさせ、自分たちが主権を握ってまちづくりを進める
まちもある。

隣り合った商店街同士で、高齢者の役員同士がいがみ合っている中で、
双方の青年部はそんなしがらみなどどこ吹く風とばかりに、
協力し合って仕掛けていったまちづくりがうまく行っている事例もある。

人事のようにふるまったり、あきらめたり、背中に隠れたり、
個に埋もれている場合ではない。
自分たちで切りひらくよりは、作られた環境で育ってきた価値観に
居座るのではない。自分たちの地域の未来をちゃんと予想して、
そして描き、主体的に取り組んでいくためには
どうすればよいのかを考え行動しなくてはならない。

場が与えられないことを周囲や環境のせいにしてはいくのではなく、
そのような中で、いかにまちづくりの主権を奪えるかを考え、
行動できるのが若者としての資質でもあり、将来への責任でもある。

そして、そのような若者の資質や自我を高めるのは、
「場を与える、権限を与える」という先人たちの環境づくりが必要不可欠なのだ。

++++

シルバー民主主義という言葉がある。

増え続ける高齢者の選挙投票率が高く、若者の投票率が低い。
そうすると、人気取りでも高齢者政策を打ち出す候補が得票を伸ばす。
結果的に、社会を育てる生産年齢の若手の負担は増え、一方で
自分たちの将来が保証されない社会整備が今よりもいっそう進む。

しかし、これは若者にとっても、与えられている環境ではない。
自ら招いている環境であるということに、危機感が必要だ。

++++

「老いては子に従え」

という言葉がある。
老いたものは権利や権威の主張を控え、子に場を譲る。
子はよりよい環境づくりを主体的に責任を負いリードする。

しかし、まちづくりの現場はこの言葉には程遠いな、と感じることが多い。

 

 

 

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2008年09月06日 19:24に投稿されたエントリーのページです。

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