++ 画像・文章の無断転用、転載、加工等はお断りしております++
☆また、商品販売や販売促進を目的としたサイトが当ブログの記事を無断でリンクし、
記事内の情報をそれら目的に用いることを禁じます。☆

« まちなかに子供を呼び戻す | メイン | 子育て世代にのしかかる負担 »

企業は本当にそばに立ってくれる金融機関と生きるべし

NHKで今やっている「被災地の信用金庫」。気仙沼信金が、気仙沼の水産加工会社への融資を行うまでのドキュメンタリー。津波で一切合財失った水産加工会社はメインバンクであり既往で3億円の借り入れがある銀行に新たな再興のための融資を要請し断られる。そこで、気仙沼信金に赴き、経営者と信金の担当者、理事の真剣なやり取りが続く。融資は、日本政策金融公庫、保証協会の支援を得ておりることになった。しかし、そこで銀行がかみつく。「断った覚えはない。公庫がかむならうちが面倒をみる」。そこで、公庫は手続きをストップしてしまう。すでに銀行に不信感を持つ経営者は信金と話を進めたいと判断する。しかし、銀行は経営者に「3億円を返さないとそれは認めない。それは無理だろうから、うちと進めろ」という。真摯に知恵を出し話し合いをしている信金と関係をつくるべきだと判断した加工会社の経営者。その想いを聞き、信金の理事は理事長に直談判する。3億円を、信金が追加融資して銀行に一括返済するというプランの是非を問う。「他の事業者にも波及する気仙沼の代表産業を潰してはいけない」と理事長はいい、「経営者がその気であるなら、信金も本気で支援をする」理事は、経営者に言った。経営者は涙する。50人の従業員の生活も、関連する事業所のことも守ることができる。
かつて、商売をしていた私の父のメイン取引先の銀行は第一勧銀(現みずほ銀行)。仕入れた漬物やみそなどを売っていたのが父の商売だ。バブルのころは、銀行の支店に行くと担当者がモミ手するようにして父の所へ来たし、我が家にも来て金を借りてくれと言ってきたものだ。でも、それから5年くらいして、バブルがはじけ、我が家の商売が苦しくなったとき。銀行の対応はとても冷たくなり、留守電に吹き込まれるメッセージに感情を感じることはなくなった。ため息すらわざとらしく吹き込まれた。そして、お願いした融資はにべもなく断られた。個人の例先企業にとっては、血流を止められたのと同じ。死刑宣告みたいなものだった。結果的に、国民生活金融公庫が400万円を融資してくれた。400万円。かつて、モミ手していた銀行員が簡単に融資を申し出ていたような額だ。


数年間は苦しい時期が続いた。
週単位で催事を請け負っていた父は目に見えて家にいる日が増えた。
家計は苦しくなり、目に見えて家族はバラバラになっていった。
家に帰ると父親が自殺しているのではないかと思うような毎日だったが、それでも母のパート代と勤めた私の給料でなんとか生活を続けた。
私自身も、学生時代にあんなにあこがれた、将来の自分の温かい家庭をいつしか、
家庭なんか持ちたくない、と思うようになり大切なものも失った。

でも、2000年に転機が訪れた。
父親が商売の方法、業態を変えたのだ。まだ、惣菜ブームが来る前に、「田舎のお母さんが作ってくれるような手作りの惣菜」を売り始めた。
時代の先取りとなった商売はたちまちV字回復した。たちまち、売り上げは回復した。
自分はその頃はもう社会人だったが、みずほ銀行に対して「何を見ていたんだ」という怒りと「ザマミロ」という気持ち良さがあった。
2000年以降になると、みずほ銀行は公的資金として兆円単位のお金を国から注入された。信じられなかった。

何も、すべての銀行が悪い、といいたいのではない。診断士仲間では地銀仲間もたくさんいて、彼らは優秀で情熱的で、そして真摯だ。(ここ10年ばかり法人税も払ってこなかったような大きな都市銀はどうか知らない)また、信金の仲間も多いが、彼らは地域密着の機関として、泥臭い支援に明け暮れている仲間たちだ。


私は創業塾や経営者対象の塾を行うことがあるが、その時に言うのは「本当に、自分のそばに立ってくれる金融機関、苦しいときに目先の資金回収のためではない経営改善に提案をしてくれる金融機関と付き合うことが大切だ」と伝える。何の提案もなく、ある日突然、死刑宣告をするような機関ではなく。その死刑宣告の先にあるのは企業の死だけではないのだから。

自分たちも被災者であるはずなのに、尽力している気仙沼信金の職員さん、そして、苦難にほんろうされながら新たなステージに進むことができた経営者さんの様子を見ながら、思わず、胸が熱くなってしまった真夜中だった。

About

2012年02月17日 02:17に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「まちなかに子供を呼び戻す」です。

次の投稿は「子育て世代にのしかかる負担」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。