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本日の日経MJに「消費者」として紹介されました

 

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今日の日経MJの「食の安全」特集。3面に”一消費者”としてコメントをとり上げていただきました。
実は、先日、Tさんという記者さんに。取材をお受けしていたんですね。
案の定、私のせいでいろいろと話がそれて、3時間半の取材でした(笑)
でも、いろいろと情報提供も頂き、とても有意義。

さて、記事は紙面上の制約があるので、私のコメントを若干補足します。

まずは…

 

・「5年健康被害がなければ、安全だと思うが…」
→チェルノブイリでは、子供の甲状腺がんが顕著に発生し始めたのが事故発生から3年から5年後です。
10年後にピークを迎えています。甲状腺がんは半減期の短い放射性ヨウ素が原因となり、セシウムなどとは異なります。
セシウムでの健康被害は、もっと先の話になり、汚染物質の体内での蓄積部位も異なります。
5年後は体内に蓄積したセシウム量を把握することで、食が安全かどうかを把握できます。

5年という時限は、国が当初、放射性ヨウ素の甲状腺取り込みを阻害するヨウ化剤なども配らずに「安全」といい続けたこともあり、
5年以内に甲状腺がんなどが増えれば、それだけ汚染物質が放出されていたことが分かること、それに対して、「安全」といい続けられていたことになります。
そのような中で仮に、5年後にも国が「安全」といい続ける姿勢をとるかどうか、なおかつ生産者や流通業者からの包み隠さぬ情報提供、実効的な除染や、身の回りで無料で簡単に食品の汚染度を測ることができる環境などが整備されるかどうか、
といった環境のいかんによっては、その時点でも、「食品を安全である」ととらえることができなくなります。

下記のことを念頭に置く必要があります。

「かつてあった食の安全」は、日本ではもう無理です。

これからの

「食の安全」は「内部被曝量を家庭で管理できる事」

なのです。

・「栃木県の農家から…」
→今もお付き合いある農家です。その農家の属する地区のコメの調査からは、汚染は見つかっていません。
先祖伝来の土地を守り、こだわりのネギなども作られている方で、ある日突然、自分が作っている土地、作物があたかも「毒物」であるような状況になってしまった。

毎年、丹精込めてつくられていたお米を、私は購入して楽しみにしていました。
でも、昨年、注文すべきか悩んでいたとき、彼から米が送られてきました。
「これは贈呈します。お代は結構です。精米しておきました」
私は、涙が出ました。普段は玄米で送ってもらっていたのです。
「お代は取れない」「外側に汚染物質があったらまずいから、我が家の精米機で精米しないように配慮」してくれたのです。その一方で「ちゃんとしたコメをつくったんだ」というプライドです。生産者にも、「対価」はとても重要なのに…。
あまりに、心が締め付けられました。そして、自分の誠意をどう伝えられるか、いまも、答えを見つけられずにいるのです。きっと、私はありがたく食べると思いますが、家族には…。

・「信頼感が崩れて…」
事故以降の一部生産者だけではなくJA、流通業者などの不信感を買う姿勢(消費者につけを負わせるのではなく、東電や政府に対してもっと行動すべきだった)や不勉強さ、官民挙げての「食べて応援キャンペーン」、そして、これはとても大きいのですが、国が作付けをさせたことで「汚染物質と表土が混ざってしまい、田畑の除染が困難になってしまった」
(本来は、東電や国が休業補償をしてその間に表土の取り除き、除染を徹底すべきだった)ことがまず挙げられます。
生産者のかたが消費者が納得いくような独自調査をしたり(最近増えているようです)、身の回りで自分や家族の被曝量管理をしたり、無料で放射線障害の治療を受けらるような環境がない今、 情熱を持った親交のある生産者のかたの作物でも、そう簡単に口にできなくなってしまった。
これって、本当に悲劇的なことだと思いませんか?

・「妻と1歳の子どものため…」
→わが家では、基本的には私は西の食材を探しますが、なければどこのものでも食べます。
というのも、なんでも割高なオイシックスや取り寄せをすると、一番食材を消費する私の分を含めると、家計が膨らみ過ぎるからです。
一方で、「もし今後、10年、15年たって放射線障害が出るとき、両親が同じ時期ぐらいに斃れて子供を一人ぼっちにするのはやめよう」と家族で話しています。

そうすると、家内よりは私が斃れたほうがいい。

そういう判断です。
ちなみに子供も、生まれた時は不要と思っていた生命保険に入れました。

+++

みなさん、私の考えは偏っていて、非人道的だと思いますか?

防災心理学上では、災害が起こったときに、まっさきに適切に行動をする傾向があるのは、より小さい子供を持つ親たちです。
この記事でも、そのような親御さんたちの行動や意識が見てとれます。

人間の本能に沿った形の行動でもあるのです。

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2012年03月07日 11:40に投稿されたエントリーのページです。

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