++ 画像・文章の無断転用、転載、加工等はお断りしております++
☆また、商品販売や販売促進を目的としたサイトが当ブログの記事を無断でリンクし、
記事内の情報をそれら目的に用いることを禁じます。☆

« 2007年04月 | メイン | 2007年06月 »

2007年05月 アーカイブ

2007年05月25日

評価する苦しみの先に願うこと

人を評価、採点することは難しい。

それが相手が社会人、
本人たちは目の前のことに懸命に取り組んでいて、
基準は絶対評価、
なおかつ、
それによってその人たちの人生を左右するならなおさらである。

その人たちの背後にいる家族や、今後の生活なんかだって脳裏に浮かんでくる。

しかし、その評価をすることには理由がある。
その理由をないがしろにすることは、その研修生本人だけでなく、
すべてを台無しにすることだ。

連日深夜に苦悩しながら、期限までに評価をする。
そんなことは周囲のほとんどは知ったことではない。

評価すること。
自分自身が、その意味をしっかりと理解し、あるべき姿をつかみ、
どう覚悟をして決断をしていくかなのだ。
そして、そのために、どのように材料を集め、人の話を聞き、
アレンジして判断の材料としていくかなのだ。
診断士とは、仕事とは、大きく言えば、人生だって、そういうことだ。

結局、最後は自分自身であって、誰も救ってはくれない。

そして僕は、ずっとそのことを研修生に伝えてきた。

 


 

昨年のある研修のとき。

僕は、家に帰れば家族を背負っている研修生の幾人かに厳しい評価をした。
ギリギリまで悩み、色々考えた末の結果だった。

でも、それだけでは彼らも納得できず、そうであれば自分も救われぬと思い、
時間をかけて一人ひとりにメッセージを書いた。A4で2枚~4枚程度だろうか。
その人のいいところ、改善を図るべきところ。

評価とメッセージが彼らの手元に渡ったその夜か、2日位してからだった。
彼らからメールが来た。

「有難うございます、これから、挽回できるようがんばり、必ず卒業します」

僕が低く評価をつけた研修生ほど、早い時期にメールをくれた。

なんて、優しい人たちだろう。
その点を評価できる評価軸がない、その基準をうらんだ。

 


 

それから、何ヶ月かして、その学校で彼等にばったり出会った。
ずっと気になっていた研修生たちだ。落第せずに、残っていたのだ。

彼らは僕を見ると、満面の笑顔を浮かべた。
そこには、

「やったでしょう?」

そんな自信も見て取れた。

僕は、泣きたいほどうれしかった。

「よくぞ、ここまで残ってくれましたね!心配してましたよ」

僕が言ったら、彼の隣にいた見ず知らずの研修生が驚いて言った。

「え、○○さん(その研修生)、心配されるような人だったの?」

彼は、そして、それ以外に僕が評価を低くつけた班員は、
目を見張るべき意識改革と行動を成し遂げ、ついには「問題児」から
「一目置かれる人」になったのだ。

 


 

人を評価することは苦しい。

だから、あたりさわりのない評価をつけるほうがよっぽど楽だ。
それに、自分だって嫌われないで済むのだから。
何度も、くじけそうになる。
記憶の隅々を掘り起こしながら、自分と研修生に問い続ける。

しかし、自分には大義がある。
目の前にいる人、そして社会を裏切るわけには行かないのだ。

物事の本質を考えたとき、どのことが一番その研修生のために
してやれることなのか。それを通して社会に貢献できるのか。

これを見失ってはいけない。

 


 

つい先日、手元にお茶の葉と、一通の葉書が届いた。
別々の差出人だったが、それは自分が担当した研修生で、
卒業から1ヶ月、
お茶は若手の情熱的な研修生、
葉書をくれたほうはまさしく、厳しい評価をつけた研修生だった。

何もないところから手探りで作り上げていく厳しい研修期間を体験した
二人からのそれぞれの贈り物が、とてもうれしかった。

僕は、彼らの記憶に残ることができたのだろうか…。

 


 

シアトル・マリナーズのイチローはかつてTVのドキュメンタリーで言った。

「苦しみの先にこそ、真の楽しみがある」

僕はこの言葉に救われる。
だから、僕も、この「苦しみ」から逃れることはしない。

研修生と、社会の豊かさを願いつつ。

 



 

 

 

 

 

 

街づくりシンポジウム

先日、中小機構で行われた街元気プロジェクトのシンポジウムを見てきた。

佐世保、呉、長浜、長野、青森といった、中心市街地活性化事例で
注目されている地域の街づくりリーダーが来ていた。

青森からは、私も取材して面識がある加藤博さんが来られた。
(あの時は、開口一番説教されたなあ!その後、飲み屋の話しで盛り上がったが・笑)

会場がやけに小さく、200~300人の聞き手(年齢層高い)がぎっしり詰まっていて、
顔見知りのベテラン先生方もたくさんおられた。

各地の取り組みの簡単な紹介の紹介のあと、コーディネーターの質問に
パネラーがトークしていく。

しかし、全体でたった3時間しかないシンポジウムで、成果発表会のようでなんだか消化不良。

とはいえ、街づくりリーダーの皆さんのパワーには目を見張るものがあるし、
何よりも、

「情熱」

これをビシビシと感じずにはいられない。

 


 

とはいえ、実のところ、一定の違和感を感じたのは確かだ。

「この違和感は何だろう?」

パネラーから学ぶことは多いし、当然尊敬だってする。
学ぶべき要素だってしっかりある。

御幣を恐れず言わせてもらうとすれば…

”団塊スタイル”

なのである。
つまり、30才代の自分からするとジェネレーションギャップを感じるのだ。

もちろん、ここに深くかかわったことはないし、現場に行って
直接かかわってはいないので(現地を何箇所か見てはいるが)
断言はできないのだけれども。

個人的には、成功していようといなかろうと、情熱的に
取り組んでいる

”若いリーダー”

たちにも会いたい、その仕事を見てみたいと思った。
もちろんできるのであれば、仕事で携われればもっとよいが。

 

2007年05月29日

オークション詐欺 現在進行形

本日、とあるネットオークションで2人の異なる「商品発送地域」と
「ID」の
出品者から、それぞれ同じ商品を落札した。

どうやらそれは、オークション詐欺のIDらしく、現在それが進行しているようである。

■事の発端

オークション上で、とある商品に目をつける。
その説明文章は日本語で、長々と機能などが説明してあり、
取引の注意事項も書いてある。

ただ、画像が明らかにその商品自体ではなかったのと、
説明文にやや不自然な表現があった。

入金先を見ると、どうやら日本の銀行ではない。
厳密に言うと、日本の銀行を中国語表記してあったようだ。

とはいえ、そのIDでは過去に多くの取引実績があり、
「悪い出品者」との評価はない。

また、ほかにも多くの商品を出品している。

金額も、個人的に決めている損害許容額の範囲内なので、
入札し、落札した。

■何か変だぞ

数時間して、夜。
ネットオークションの取引連絡用の掲示板に、出品者からコメントが来る。

銀行口座だけ書いてある。

しかも、思いっきり中国語が文字化けしていて読めない。

通常、オークションでは、

「はじめまして」

から始まり、

「短い間ですが、よろしくお願いします」

とまずは出品者が身元を明かすものだ

しかし、ここには出品者の住所や電話番号も書いていない。

さらには、2人別々のID、出品地域の商品を落札したのに

「銀行口座番号が同じ」

思いっきり胡散臭い。

「中国の社会じゃ、こういう方法なのかもしれない」

そう善意に解釈しようとした。が、やはり調べることに。

 

■調査の結果は?

調査、といっても、そんなたいしたことはしていない。

1) そのIDの過去の行動を読む
→ 評価欄で、過去の落札商品の動向、評価、そして、 そのIDが記入している文章を分析

2)そのIDで、今回落札した商品が評価されているかを見る (事前に見ているが)
→ 評価欄に、その商品を落札した人がよい評価をしていれば、 信憑性があがる

3) そのIDで詐欺の報告がないか探る
→ グーグル検索を行う。掲示板を検索する。

4) 商品説明文章が共通しているほかの出品者などの過去の行動を見る
→ IDをコロコロ変えている可能性があるのと、 もともと商品説明文章を
他人からコピーしている場合、コピー元が迷惑をしていることがある

5) 先方からの連絡を無視してみる
→ 基本的にオークションはすばやい返信が行われるが、 あえて返信をしない。

これ他の調査を行った結果。

1) そのIDの過去の行動を読む

その結果、 そのIDの過去のオークション取引では、今回出品されているものと
同じようなカテゴリにくくれるような取引は皆無であった。

まったく趣向の違うものが数多く取引されていたことがわかった

しかも、出品よりも落札がはるかに数が多い。
しかし、今回、そのIDではざっと数えても20以上の商品を同時に
出品
しているのだ。

さらに着目したのは、過去の評価のやり取りは

「日本語がかなり丁寧で上手」 なやり取りをしている

ということであり、漢字も日本のものであった。


2)そのIDで、今回落札した商品が評価されているかを見る (事前に見ているが)

その商品では、評価者がいなかった。
調べてみると、そのIDがその商品をオークションに出し始めたのはここ2日。
オークションの説明には「入金確認後、2日以内に発送」とあるので、
最速でも明日に評価がつくことになる。
あまりあてにならなかった。

3) そのIDで詐欺の報告がないか探る

グーグルで検索をかけてみる。そのIDの過去の取引と、現在出品している
取引のページ、ここ二日すでに終了しているページが出てきた。
しかし、特に詐欺の報告は出ていないが、4につながるいくつかの情報が
でてきた。

4) 商品説明文章が共通しているほかの出品者などの過去の行動を見る

これは効果覿面だった。

まず、文章であるが、他の出品者の商品説明をまるっきりコピーし、
入金先だけを変えていることが判った。

その出品者は、出品ページの中に以下のような注意書きを書いている。

「最近、このページの商品説明をコピーして出品している出品者がいますが、
私はその出品者とはかかわりはなく、一切のトラブルに関与していません」

つまり、この出品者はおそらく、何らかの問い合わせや苦情を受けている、
ということであり、ここでいう苦情というのは
「商品が届きません」
というものであろう事は容易に推測できる。

そして、今回私が関連している出品者の商品説明の文章は、
さらにいくつものIDで同様の文章をコピーして出品していることが
判った。

そして、過去にすでに終了している取引でも同様であり、
そのような取引の中から気になるものを多々みつけた。

それは、

「IDが停止中」

となっているものが多いということだ。

つい先日まで、色々な良品の取引実績があるのに、ある日突然、
今回の商品を出品し、落札され、そして数日後すぐに

「ID停止」

となっている。
つまり、これは、それまでは正常にさまざまな商品を取引し、評価が悪くなかった
出品者がある時点で悪いことをして、サービス会社に通報され、IDを強制停止
させられたことを意味している。

あるいは、IDを不正使用された本人が気づいて停止させたか、である。

5)先方からの連絡を無視してみる

この調査の結果も面白いものであった。
はじめ、口座だけが届いたメールだが、

一時間もしないうちにもう一通届いた。

それには、文字化けが若干修正され、フリーのメールアドレスが
加えられ、文法が変な
日本語も書かれている。
つまり、

「早く住所を送ってほしい、入金してほしい」

ということ。
しかし、これも無視した。

すると、さらに1時間もたたないうちに督促第3弾が来た。

どうやら、口座番号ははっきりと判るようになったようだ。
そして、その口座名義は中国名ではなく、おそらく朝鮮半島系の
物であることが判断できた。

そして、その支店名は、「出品地域」とは遠くはなれたものであったのだ。

■この取引は限りなく詐欺に近い

上記のことより、

・このIDによる取引は非常に詐欺的要素が強く、
取引が誠実に履行されないリスクが高い


ことが判ったのだが、さらにいえるのは、

これらのユーザーIDは、これまで実在し、使われてきたものであり、
それが今回の取引においては第三者に不正使用されている可能性が非常に
高い、ということである。

そして、商品の画像と本文の差異などについては簡単な表現でも
修正されていないこと、私に来たメッセージが中国語であったことから
おそらく、出品者は日本語の文章が理解できない外国人であると考えられた。

また、 連絡を無視しているときに矢継ぎ早に催促をしていることについては、
早く入金させたい、ということもあるだろうが、
こちらの氏名、住所、電話番号を抑えて身動き取れないように
したいのだろう。
取引で、 クレジットカードや後払いのサービスを使っていないということは、
相手が現金を確実に手に入れようとしていることを意味している。

私の立場、つまり落札者は
出品者の名前や住所、電話番号はこの時点でもわかっていない。
それなのにこちらから伝えてしまえば、あとからどのような手を使っても
入金させられる可能性が高い。
たとえば、「お前の家に行くぞ」と電話がかかってくれば、こちらは
どこの誰かもわからぬ人間におびえて、結果的に入金せざるを得ないのだ。


■フィッシングによるID不正取得からの

犯行の可能性

それにしても、「他者のIDを第三者が使う」ということは可能なのだろうか?

可能、なのである。

それを可能にするIDとパスワードの入手は、いくつかの方法がある。

a) 直接人が入力しているのを見て、IDとパスワードを盗む
b) スパイウェアを相手のパソコンに感染させ、そこから入力された文字列を読み取る
c) 巷にID,パスワードが流出しているとして、それを有料で入手する

そして、可能性として高いのが
d)フィッシングというインターネット上のトラップ(罠)をつかい、相手にニセの
ページからIDとパスワードを入力させ、それを記録しておく。

おそらく、今回用いられているのは”d”のフィッシングだろう。

かつて自分も、ヤフーオークションのログインページそっくりに作られた
フィッシングページに遭遇したことがあるが、一見しては区別がつかない。
そしてそれは、メールで「お得なオークション開催中」や、
掲示板などで、「この商品を見てみて!すごいから!」などのような
誘導を行い、ユーザーの好奇心をあおってニセページにログインさせ、
その際にIDとパスワードを記録してしまうのだ。

今回、私が直面しているIDの過去の取引結果から見れば、
随分オークションをやっているようだ。
さらには、ある種のマニア的傾向を持っていると明らかにわかり、
そのネタでフィッシングに引っかかったであろうコトは推測がつく。

■対応~信義上の理由からキャンセルを

まずは、サービス運営会社にメールを入れた。

また、自分自身は相手にメールアドレスはばれているものの、
それ以外はばれていないので、もう少し返信をしないように
しようと思う。
相手は、メールをよこせ、といっているが、ここでうかつにメールなど
出してはいけない。
そこには、相手に渡ってしまうこちらの情報があるからだ。
たとえば、どこのサービスプロバイダで、 どの地域のアクセスポイントを
経由しているか、など。
メール情報からだけでは個人は特定することはできないのだが、
それでも必要以上に相手に情報を渡してはならない。

さて、明日中にでも
IDが「停止中」になれば明らかに何らかの被害が発生したことがわかるし、
逆に、 そのIDに今回の商品をほかに落札した人からお礼の評価が入れば
確かな相手だという確証が少しはもてる。

いずれにせよ、結果的には

「信用できませんので、取引はキャンセルします」

ということになるだろう。

まあ、もしかすると相手からは「悪い落札者」だと評価を受けるかも
知れないが、説明と事実が異なることを行っている相手とリスクを
犯してまで取引をする義理はないだろう。

■今後への教訓・改善

オークション、ネットショッピングの経験は豊かなほうだと考えている。

だからこそ、油断が起きてしまい、相手の与信審査を十分に行うことなく
失敗するところであった。

今後は、これを教訓に気を引き締めなおす必要があるだろう。

今回、調査時に行ったような作業を、きちんと事前に行おう。

大切なのは、後始末ではない。前始末であり、

その状況を回避することなのだ。

2007年05月31日

本末転倒。

中小企業大学校の中小企業診断士養成課程について、情報を探す人が多いらしい。 それに伴って発信する人も増えたようだ。すばらしい研修だから、その経験が社会に知らされ、還元されるならば喜ばしいことだ。ちなみに、 この手の情報はインターネット上の某巨大掲示板にも色々と書かれている。

気になるのが、「新養成課程(2006年から始まった、一次試験合格者の半年コース)は旧養成課程 (一次試験合格者でなくとも入試に合格すれば一年間学べるコース)よりレベルが高い」とか「旧養成課程と一緒にされては困る」という、 本当かどうか知らないが、在学生もしくは卒業生による書き込みがあることだ。

旧養成課程も、新養成課程もどちらの研修にも携わり、研修生を見てきている自分から見れば、 そんなことを言っている時点で、診断士としての資質・水準を疑わざるを得ないというのが本音だ。

そもそも、2001年以前の診断士など、今の診断士と位置づけと期待される役割が違うのだから、 その時点で比較しても意味が無いし、診断士としてそれに考え至らないということもよもやあるまい。

 何を持って「優れている」「劣っている」というのだろうか。その人は、 現場で物事をどのように判断しているのだろうか。一次試験に合格していることが優れているということなのか?

さらにいえば、犯罪予告、 犯罪の告白なども書き込まれるその手の巨大掲示板に診断士や研修生を名乗って書き込みをすること自体、脇が甘いとしか言いようが無く、 そういう主張は自分でサイトを作って本名も出して堂々とやればよいと考えている。

いずれにせよ、診断士の資格は道具でしかない。それをどう使うか、それを優れたものにするかしないか、 それがどのような優秀さを持っているかは表出したり、言葉で解説できるとは限らない属人的な資質、能力、努力、心構えによるところであり、 知識の多い少ないなどをもって一言で比べたり評価することはできないのである。

簡単に言えば、旧養成課程だろうと、新養成課程だろうと、 診断士として社会のお役に立つ人はたつだろうし、そうじゃない人はそうじゃない、ということだ。いってしまえば、「コンサルタント」 としてみるなら、診断士の資格なんぞ持たずとも活躍している人だってゴマンといる。冒頭のものの見方からすれば、 診断士を持っていない時点でそのコンサルタントは診断士に劣っている、ということにもなりそうだが、そんな考えはあまりにも馬鹿馬鹿しい。

自分が学んできたものや環境にプライドを持つことは悪いことではない。しかし、その本質を語らずして (そもそもよく調べもせず)うわべを捉えて比較、主張するような、 養成課程を貶めるような根拠ない書き込みは中小企業大学校の診断士養成課程卒業生として、本当にがっかりさせられてしまうのである。

 

About 2007年05月

2007年05月にブログ「Take it easy 中小企業診断士 伊藤大海のブログ」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年04月です。

次のアーカイブは2007年06月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。