日常の中の人の居場所、人をたくさん集める非日常の場所

日常の中の人の居場所、人をたくさん集める非日常の場所

川崎市の登戸駅。かつて私が駆け出しのころ、住んでいた街です。
知り合いの事業者と会う用事があったので、久しぶりに行ってきました。
登戸といえば、有名漫画家のミュージアムがあることで有名で、私鉄の小田急線もJR南武線もそのキャラクターを活用しています。
ミュージアムはとても人気のようです。

そのミュージアムができる前は、そこは小さなボウリング場でした。
ボウリング場を取り壊して、ミュージアムが建設されたのです。

当時の私の家はボウリング場から徒歩1分。
必然的な流れか、ボウリング場の会員となった私は当時は週に数回は通っていました。
中高生から、90歳近い高齢者まで様々な会員がいました。
大会で入り混じって交流をしており、たいてい顔を知りあう中でした。

ボウリング場を廃止してミュージアム建設に至るまでには、民間事業者だけではなく行政や市民活動など様々な思惑がありました。

「有名漫画家のミュージアムができる!」と浮かれる発表の一方で、数千人の「ボウリング場をなくさないでほしい」「候補地見直しを」という署名が集まりました。
私も署名した一員です。

そこは私も含め地域のある人たちにとっては一過性の場ではなく、 「日常的な」居場所であり、そのような場が失われつつある昨今、貴重な場だと思っていたからです。
署名は、ほぼ一顧だにされなかったといえるでしょう。
それは「マイノリティの主張」だということなのかもしれません。

ボウリング場の最終日、24時に営業が終了するまで、多くの会員たちが訪れていました。
電気が消えるあの光景を、今も覚えています。

新設されたミュージアムは大変人気を博しています。
私の知り合いもとても楽しんだと話してくれました。
子供も大人も共有して楽しめる場はよいものです。
人を集める上では、成功したといえますし、
事業上では採算性の低いものから高いものへの転換がはかられたのだと思います。

しかしながら、、、一方で、その地域から

「離れて行った日常の中の人々」

がいたことも忘れてはいけないのだと思います。
ボウリング場の会員も、そこをコミュニティの場としていた人たちも散り散りになっていき、地域に集まることはなくなっていきました。

私はまちづくりにおいては「日常の地域の人の居場所」があって「非日常の一過性の居場所」があるのだという優先順位を持っています。
地域にとって真にそれを支えるのは、往々にしてブームに左右される一過性の人々ではなく、そこに根をはる日常の中の人々であると思うのです。
それゆえ、後者を考慮する際にただ単に前者を塗りつぶすのではなく、代替提案があるべきだとこの時に痛感したものです。

「日常の中の人の居場所、人をたくさん集める非日常の場所」そして「まちづくり」。

さまざまな地域を訪れて活性化をお手伝いする今も、常に忘れない視点です。

伊藤大海 1976.2生まれ 東京都日野市在住。 まちづくりコンサルタント。 経済産業大臣登録中小企業診断士。 地域の資源に目を向けた活性化プロジェクトや活性化エンジン組成、事業構想支援など。
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