無理に事業化しない。

無理に事業化しない。

私の現在の事務所は建物の上のほうの階にあります。
まちの喧騒や風物と接することなく、静かに作業ができてよいところがあります。
でも、まちづくりコンサルタントとしては、何ともつまりません。
もっと、まちに接してオープンに相談に来る人の出入りできるような事務所としたいのです。

ということで、物件を探しています。
「どこでもよい」のではありません。
個性的な商店街の中にあるリノベーションできそうな物件。
なおかつ、借り手がつかないので家賃を安くしてもらえるところ、です。

私が住んでいる地域でも、
朽ちかけたようなそのような駅前物件が多々あります。
立地的には悪くないし、事務所としても手ごろな広さ。
リノベーションのやりがいもありそう。

さっそく不動産会社に打診しましたが、「賃貸は出ていない」。
商店街関係者のつてをたどってみたものの「貸す気はない」。

この地域はあきらめて最近、
出入りしている地域の物件に目を付けました。
このエリアで借りるなら、絶対ここ!という物件です。
ただ家賃がとても高く広さもあるので、
その物件でより事業性のある複合的なことをしないとちょっと難しい。

ということで、事業構想を作りました。このあたりは本業なのでお手の物です。

公共的な補助金についても調べました。
もっとも私は「補助金ありきの事業」は正しい姿ではないと思っています。
「補助金の切れ目が物件との縁の切れ目」
全国各地で「家賃補助」が切れたとたんに破たんした事業はあまたとあります。

事業は、基本的に補助金なしでも立ちいく計画とすることが大切です。
補助金はそのような計画立案の上で、
それを導入すれば初期費用とランニングコストが圧縮できることから、
事業拡大への加速化を図ことができるための、
あくまでも便利な「道具」の一つ、なのです。

私の事業構想は、私の本業(事業の軸)を据えて検討しました。
補助金を使えば、間違いなく「場」を作ることはできます。
しかしながら、
人手やオペレーションといった運営面での課題が大きいと判断しました。

事業計画は「立ち上げる」ことが目的ではありません。
運営を含めた「持続していく」ことが大切です。

また現状ではなんとなく「家賃を賄う」ことが目的となっていて
「どうしてもそれをしたい」というモチベーションにもなっていないことも
問題です。

自分が本当にしたいことは何か?
ということを常に見失ってはいけません。
目的がいつの間にか変わり、背伸びをしてしまうほど
事業の持続性は低下していくのです。

私は計画検討をいったん止めることにしました。

空き物件については、日々思うところ、
まちづくり上での大きな問題だと思っていますので、またそのうちに。

伊藤大海 1976.2生まれ 東京都日野市在住。 愛知県半田市中心市街地活性化市長特任顧問。 まちづくりコンサルタント。 経済産業大臣登録中小企業診断士。 地域の資源に目を向けた活性化プロジェクトや活性化エンジン組成、事業構想支援など。
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